翻刻
娘妻等に■【誂?】して自身ハ外へ出行と也 家の内にハ戸
障子の隔て無き故木綿の蚊帳を昼夜共に釣詰にして
間たの隔て也閨房なりんふとんハ羅沙の織屑又ハもん
ぱのごとき物の至て幅広きものゝ由漂客此島に逗留中
万次郎に誘引ハれ折々通ひし由島女きぬ〳〵の睦言ニ
深切らしき事を語り明たけれ共元ゟ言語通ぜされバ褒る
のやらコナスのやら訳らす何を何と言事やら可笑して
聞留ざりしとそ
土地作物
一甘砂 《割書:太く大きし土人製法
するを知らす生マにて売候由》 一里芋 西瓜 年中有
一莱菔 《割書:丸くふとく短し日本の
鼡大根のごとし》 一胡/薩葡(本ノマヽ) 色黄也
一小豆 小角豆 日本と異ることなし 一瓢箪 《割書:丸ク六尺内外壱尺
已上なるもあり》
此瓢箪の売を二ツわりにして櫃又ハ/盥(タラヒ)にもし其外諸式
入物皆此売を用ゆ覆ハとも蓋なり
島人櫃盥をひとつに用ひて不潔を不知と言
油ハ魚油也《割書:諸館皆是を用ゆ土人の内にハ行燈なし夜分燈を
点せす暗がりにてどの家へ行てもゴソ〳〵すると言》
蜜柑 柚 柑子 此外数品有べし見留す
竹生せす 桶の輪鉄を用ゆ 絹布 《割書:産せす外国
より来る》
米 麦不作 年中常食ハさといも也
此地米麦不産の地故五穀を貢に出す事なし多分芋を
納る又銀納も有と言島主ハ痴漁にて何事も応接することなし万事
アメリカ役所にて裁判する由年貢もアメリカ県吏より取立して
島主へ宛行ふと也
馬 土地に沢山有れ共喰す牛豕ハ諸館に養ひ子を育つ■言
諸館にて毎日牛を屠ること拾八疋平均なれ共上食にて価高く
島人等ハ牛豕を常々喰事能はすと言諸館にハ万ツ□□といふ
物なし歓舞吹弾の音も聞ゆヲルゴルの大キサ壱間位の
大器にて寄々軽々妙音美音有船中にて持て遊ふヲルゴル有