翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

亜墨利加漂流記聞 - 翻刻

亜墨利加漂流記聞 - ページ 14

ページ: 14

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 弐尺位の由洋中にてシケ或ハ難風の日ハ檣操りさげ船の  上廻りを〆切り内にハ燈を点して鼓弓オルゴルの二曲を鳴らし  楽譜を唄ひ終日酒宴して歓楽する也山のごとき大浪  船の上を打越しても内へハ少しも洩れ入ることなく難風いか程  尖く吹発りても聊恐るくことなく都而シケ難風ハ船中  の者肩休めにてたのしミ也と言漂客等携へ有し歌三昧  線締太鼓外ニ膳椀廿人前有しを船子共へ遣し候処  アメリカ人大きに悦び中にも膳椀の塗り物を甚た賞  美せし也彼国にハ/漆(ウルシ)を用る事断ならすや亦漆  なきや日本製の塗り物を珠玉のごとく珍蔵する様子ニ見へ候  或る難風の日船中つれ〳〵のまゝ吉松舟子共と相撲を取  たりし時黒人ハあたまに頗る力あり腕先も強く中々勝得  難く負けアメリカ人とハ負すおとらす也唐土にて取たる  時ハ唐人何レも甚た弱く壱人も手に立者ハなかりしとそ  是ハ/鴉片(アヘン)烟艸流行する故人皆弱きにやとの事也  此島小サき故にや渾天儀の両説にも外の図説にも見へす  極て小島なる故洩れたるなるべし 此ワフウにて菊松市楠左蔵の三人に出逢都合五人ト成ル 爰にて前に別れ候八人を待合セ居候内已前の大船来しかど 八人の者共見へざる故各一驚胸を/衝(本ノマヽ)き其子細を詰問ひ せしに右の八人ハ魯西亜国に上陸致彼国役人に挑して オロシヤ人右八人を日本へ護送すべしとの約束したりと也 則オロシヤ役人ゟ日本人八人預りの書付并彼国より 恙なく日本へ送るべしと言契約の証文を持参せり此□も 元船のクラツカ所持す残りの五人此孤島に逗留中 舟子共らがすゝめに随ひ日中にハ地方へ遊ひに上陸致