翻刻
船司クラツカ■■して我へノニラ丸ハバンバエの内
本邦ヌベヾンへ帰帆成レ共モリゴコツペーカバ
なんと近々支那へ向んとす其外フランチイギラン
船も左右に有我キヤブテンの良人鑑定して護送
を頼ミ誂すべし何分チヤイネ迄行たらバヂヤボ□
ネ江帰朝ハ心易き間心静に便船を待べしとの
事なりし故少し案心の半信半疑ながらクラツカ
を杖柱に便宜を爰に待居たりしとそ翌日ゟ日々上
陸して遠近を遊覧せしに此土地沼田□是へ
里芋を一めんに作り年中の食料にす島人此□
テタと言芋ハ根を取て蔓を沼へさし置に自然と
根に芋を生す是を又取また植て年中絶へす有事の由
島人の内にハ竃鍋釜なき故芝原に大きなる穴を掘
其中にて火を焚く右の火に成たる時青艸を其中に
敷芋を入レて上を又草にて覆ひ蒸焼にして程よき
頃上より水をそゝぎ芋を出し水にて洗ひ皮を去りよく
摺りつぶし水にて糊のごとく煉り延バし大体五六日の食料
丈ケを壱度に〳〵家内の割に製し大きなる瓢箪へ入れ
置四五日過て醋味を生ずる頃を度として食す食□
時ハ右大瓢の側に男女老少座して糊のことき芋□
匕箸椀を用す直ニ指三本へ付て/啜(スヽ)る/嘗(ナメ)てハつけ
付てハ嘗間〳〵ハ水を喫して菜もなく茶もなく芋
計りの吸喰也
漂客等此側にて食する体を眺メ居たりけれバ女ハさすがに
恥しくや有けん三本付る指先を弐本ニして嘗め弐本
ハ壱本ニして口をすぼめてすゝる風情所□□りしと也
島人の内に大病人抔有時ハ商館にて大瓶の破損物
抔を貰ひ聊米を調へ煎し呑と言大病人の外ハ