翻刻
せさりし事にや其訳知らす右人々ハ最早ハフウの住
人となる故のこと成べしと言
此島甚た暑く日本ハ厳寒の時節なるを此地暑サ
堪がたく日本の大土用の如くに有しとそ此島の男女も
天窓残切髪にて赤裸也小舟へ乗来り何□□□向
壱男ハ皆陽物を顕ハし惣身に入墨有女ハ芒の葉
のこときものを少し計り前に垂レ下ケ前陰を覆ひ候計り
にて尻の方ハ丸/裸(ハタカ)也此女をアメリカ人と大船へ引揚
日本まて惣嫁を買か如く面々奸媱し価ハ□烟
草を一寸程宛切て遣し候由是を裸女口に含ミて
小舟へ帰るを裸男女下ニ待請無理無体ニ口中の
莨を押出し奪ひ取勝ニ奪ひ合義理も情け
も言はぬ裸ノ虫の形情也
此練莨裸島にてハ軽からさる珍重するにや舟子共
取はづして一と切レ浪に落しけれバ裸男女海中へ飛込ミ
恰も魚の湧かごとく群り浪を分け入て尋拾ひ候由
此裸島サントウイクとハ聞へす或人言漂客の話
按するに管見ながら南アメリカ西遠洋に有と言
一小島マルケイサなるべし此島の/裸(ハダカ)虫共椰木
堅き皮をも庖丁も用す口にて剥き候由島人男女
とも歯ハよく揃ひたる丈夫なるもの也と言此土地椰木
多く専ら是を喰する由島の内にハ家と言もの前々
なく岩の硲ニ居入ると聞ゆ生まの椰子ハ大サ西瓜程
にて栗の毬のことき皮有て至て堅き物也と□
アメリカ人も漂客も裸虫のことく口にて剥事あ□
す庖丁を以剥き候に亦一ト皮有此中仁有油有
漂客是を食せしに甚美味成し故幾ツともなく
求めて喰候□□□江アメリカ人氷砂糖を一盃ツヽ