翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

亜墨利加漂流記聞 - 翻刻

亜墨利加漂流記聞 - ページ 23

ページ: 23

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 保十一年に当る  支那漠父利亜与兵乱縁由之儀ハ漂客等が聞  話シよりは先達而委敷御案内ニ可有之候事と愚  察仕候ニ付此偏ニ略す実にイキリスハ島国成レとも  世之名誉の美国にて其所属地/島(シマ)地五大州に星羅  延蔓せりといふ然れとも/魯西亜(ヲロシア)国えは昔年降参  したりしなり全其国之不属といへとも種々契約之事  有しと聞ゆ右道光廿二年七月唐土ゟ和睦を乞   求めて合戦治申後ハイキリス人/上海(シヤンハイ)の沖中にて  中山といふ海中に船を家として今以/鴉片(アヘン)煙草  を奸商するよし唐人夜中に忍んて蛋之小  船を乗出し態々遠沖の中山ニ至り鴉片を買  求てひそかに/暗室(クラキイエ)の/無人地(ヒトナキトコロ)に喫吸するよし此物  無味の中に至味有を以一度喫食するもの終身  忘られす一日喫せされバ飢餲を与ふるゟ最苦しき  心地する程の至味なる物なる由鴉片を喫する夷  人毎度漂客え喫吸を勧メ呉候得とも兼而此物人  命を縮る毒物なりといふ事聞知り有之故漂客  の内壱人も是を喫食せざりしとぞ此物を喫好  する人ニ限り身体痩て色青く見得候此鴉片は  酒と同様の物にて喫好する人連中を惜ミガリ候よし  是を喫咽すれハ睡眠を催し心地能て大体の病  気はいつたん発散する由なり然とも自然に命  を縮る毒故唐土にハ厳しく禁令せしと聞ゆ当時  表向は厳禁成れとも其禁令を改る役人も忍んで  喫吸するゆへおのづから黎民尽く連中打寄て楽候  よし此鴉片煙は煉薬の如きものニ而目方凡一匁