翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

亜墨利加漂流記聞 - 翻刻

亜墨利加漂流記聞 - ページ 30

ページ: 30

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 此天寿丸の漂客等五人は五畿内国尽し位の  事は相応読書出来候故何方ニ而左而已不自由  成る事なかりし様子也尤此/乍浦(テンミン)にて郡官より貰  ひたるといふ詩ニ日本諸君子有詩稿大兄儒雅吉  書などいへる詩なれとも夫は沙汰の外なり其詩先ゟ  何を認メあるやら不和しとなり若し此漂客今一段  読書ニ心あらハ亦一段恥ケ敷も不自由成事も可有 此/乍浦(テンミン)に七月十二日着して其十二月十一日迄滞留  右乍浦の地にハ皇朝え五度八度ツヽ商船に参りし  人数多在て日本語能く分り我国の音信を彼  是に聞まゝに漂人等此地に来りし時ハ日本え  帰りたる心地したりしとぞ  唐人の内にハ日本の惣名を長崎と心得候もの  も有之長崎人庖丁を帯し有からコワイ〳〵とて座  興に咄し致候よし唐人とも切れ物なれバ日本にハ  庖丁といふは心得居るにや何れも漂人え対して  咄しする時は刀脇差にても庖丁をさしてあるか  ら恐しと申居候或る臣商家にて四方咄しセし時  商長物語に去年の日本商ひ御仕切下直ニ而一向  不引合故今年は夏船は日本え行ざりしなり  冬船も去年の通り不引合ニ而は行難しと歎息の  咄し成りしよし 此/乍浦(テンミン)にても/香港(ホンコン)/上海(シヤンハイ)と同敷諸方官民豪家 の饗応に合金銀沢山亦定に成り候まゝ仮初めの川遊ひにも 水主奴僕を雇ひ釣竿を持セ酒肴を荷なわせ終日 遊ひ暮し或は海に投網抔して栄花を極メたる 事も有由  唐土の金銀を持帰りても日本にてハ不有用の物