翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

亜墨利加漂流記聞 - 翻刻

亜墨利加漂流記聞 - ページ 4

ページ: 4

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間浮きつ沈ミつ/漂(タヾヨ)ふ内八丈島へ流れ近付しが/楫(カヂ) /艪(ロ)の類なけれバ詮方なく只頻りに物を揚たすけ舟 を乞ひけれ共/暴(アラキ)風東西にもみ合海面昼夜と なく送浪天を洗ふがごとく/凄(スサマ)まじく有様故地方 にも施すべき方便もなかりしにや只烟りを上ケ候計りニ 有之見帰るうちに吹しきる竪横の大浪大風に吹 流され少しの間に八丈島をも見失ひはらわたを 立計り思へども其甲斐なくひたすら風浪に任せ 数日の間東北の方へと漂ひ流れ二月末にハ糧米 及び飲水尽残りの干鰯抔食料にて水を絶す事 一昼夜に及し事も有之其後者折々の天水にて漸く /餲(カツ)を/凌(シノ)ぎ何処を当てとハなしに/渺芒(ヘウ〳〵)たる海上を流れ 次第そこはかとなく浪のまに〳〵漂ひしが方角 も弁へす何国の/洋(オキ)とも知れすして遂に三月十二日異 国の船に助られ漂客拾三人必死を遁れ初て安堵 の思ひをなし嬉しさ言はんかたなかりしとそ  爰迄の間毎日飢餲を忍んで昼夜替る〳〵浪水を汲ミ出し  艱難辛苦の中からも舟中水ニ餲へし折節銘々咽を潤さんと  夕暮より茶椀或ハ皿抔思ひ〳〵にやぐらの上に広けて夜  露を受置しに一人り夜半前に密々に皿椀の《見せ消ち:水|露》を呑干し  跡へ/潮(シホ)水を露のごとく一はいづゝ数椀へ入置きそら寝入  して居たりしニ暫して又壱人忍びて皿椀の露を一ツに移して  一と口に■【喫カ】せしに潮水なれハ忽チ吐送し憤怒に絶へす  器を掴んで海へ投込ミひとりのゝしる風情先の壱人りは  何とも言ハす笑ひを忍んて腸もちぎるゝ計おかしかりし  との話しまた異国人の船カヒノ口より黒ン坊の顔を  出せし時ハ黒牛のごとき面をぬつと差出せし時思はす  肝を消したるとの事又右舟へ乗移りし時何国の舟共