翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

亜墨利加漂流記聞 - 翻刻

亜墨利加漂流記聞 - ページ 8

ページ: 8

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パンを茶に漬て食  アメリカに麦なしパン粉ハ唐土より渡り候由牛ハ塩漬  なり水にて洗ひ蒸て喰また油揚にしても喰也豕は  生物を差殺し料理して/烹(アツ)ものとし焚もし油揚にもする  油ハミな豕の油を用ゆ茶ハ炮ぜすして用ゆるにや青■【嗅ヵ】く  味悪しくといふ燈火ハ鯨の油を以点す燈心ハ布の切也 稀にハ米飯少し計り柔らかに焚て其上へ麦の粉と砂糖 を入て煉て喰都而彼国の風習にて喰物ハ一向悪敷 常食三度々々牛豕の喰にて我国に比すれバ中々下 国と見へ候由全体彼国人ハ一同食少く候由味噌醤 油ハ一切なし砂糖類蜜ハ沢山也不断煮焚に用ひ候 鯨ハ海中にて皮を剥き直に船中の大釜にて其皮を 焚て油を取る計りにて身ハ其まゝ海中へ捨流しにする ゆへ漂人等何故油計り取て身ハ捨候哉と尋れバ鯨は 毒魚也夫故喰すと申せし由扨四月上旬ニ同様の大船来り て/舫(モヤヒ)候節元船の船長加比丹右大船の内船長へ何か談し合 漂客拾三人の内八人を右大船へ詫【託カ】す《割書:此八人ヲロシア国へ上陸致候由 にていまた帰らす》 元船には虎吉市楠吉松左蔵菊松と都合五人に成る 程なくまた別舟来りし時亦三人を遣し候  此舟にハ舟主の妻子も乗船致し在し由此外にも夫婦  乗組たる船まゝ有之しとそアメリカの婦人礼節和順  にしてしとやかなること感心せし由也人物恰好ハ日本  の婦人に似て少しく小さき方也唐土の女よりアメリカ  の婦人の方遥に品宜敷姿幽艶なる由 此度ハ元船にハ吉松虎吉両人に成る船ハ段々北へ〳〵と 漁におもむき七月上旬に氷海に至る此度時候七月な れども海水氷り其上に雪積り高山をなし有し候  或人曰此天寿丸の漂流人の至りし所ハ北極出地九十度