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【右丁】
勤(つと)むべしとなり有難(ありがた)き御慈教(ごじけう)に候
一 信友(しんゆう)の曰 身(み)の養生(ようぜう)は一心の知(し)る所なれば急(きう)に明師(めいし)にたよ
りて道之(みちの)為道(みちたる)真実(しんじつ)を知得(ちとく)し我(わ)が一 大事(だいじ)決定(けつぢやう)す
べしとの儀(ぎ)上(うへ)なき深切(しんせつ)と誠(まこと)に身心に徹(てつ)し候へは即(そく)
時(じ)道心(だうしん)発(おこ)り候 扨(さて)我等(われら)如(ごと)き愚昧(ぐまい)文盲(もんもう)の会得(ゑとく)致安(しやす)
く安心(あんしん)成(な)り安(やすき)は心学(しんがく) 実学(じつがく)の教示(けうじ)亦(また) 盤珪禅師(ばんけいぜんし)【注1】
仮名法語(かなほうこ) 白隠禅師(はくいんぜんし)【注2】仮名法語 其外(そのほか)古(いに)しへ知識方(ちしきがた)
の仮名法語類(かなほうごるい)手近(てぢか)き御教導(ごけうだう)と難有(ありがたく)覚(おぼへ)候
○愚老(ぐらう)義(ぎ)は三十 間堀(けんぼり)実学家(じつがくか)の教示(けうじ)を受(うけ)て文盲(もんもう)ながら
( をしへ)
わが身(み)の一 大事(だいし)を知得(ちとく)いたし従来の迷妄 心得違(こゝろへちが)ひ
( これまで) ( まよい)
【左丁】
発明いたし候 事(こと)ども数々(かず〳〵)御座(ござ)候而 即時(そくじ)一心(いつしん)の置(をき)き【衍】所(どころ)
を決定(けつぢやう)いたし身(み)に先立(さきだ)つ大事(だいじ)も無之(これなく)段(だん)得心(とくしん)致(いた)
し夫(それ)より日々(にち〳〵)朝夕(てうせき)真(しん)の養生(ようぜう)懈怠(けだい)いたさず候 諸(しよ)
事(じ)明(あき)らめ足(た)る事(こと)を知(し)るの手短(てみちか)き御教道(こけうどう)に誠(まこと)■【にヵ】
実学(じつがく)と有(あり)がたく存(ぞんじ)候 然(しかれ)ども文盲(もんもう)の愚老(ぐらう)に候 得(へ)ば亦(また)御(ご)
銘々(めい〳〵)御存心(ごぞんじん)も有之(これある)義(ぎ)只(たゞ)銘々(めい〳〵)身(み)の大事(だいじ)を知(し)る義(ぎ)にて
他事(たし)なく候 皆(みな)御自心(ごじしん)の上(うへ)にこれある儀(ぎ)に御座(ござ)候 御思(ごし)
慮(りよ)成(な)され度(たく)候
【注1 江戸前期(1622~1693)の臨済宗の僧。播磨国出身。】
【注2 江戸中期(1686~1769)の臨済宗の僧。駿河国出身。『夜船閑話』を著す。】