翻刻
【右丁】
長命(ながいき)は朝(あさ)おきをして昼寐(ひるね)せず酒食ひかへて
独(ひと)りねをせよ
小児(せうに)驚風(けうふう)をせぬこころへの事
一 小児(せうに)の親(おや)夫婦(ふうふ)交合(かうがう)致(いた)し候 節(せつ)小児(せうに)の目(め)を覚(さま)し
なき候せつ啼(なき)候を不 便(びん)におもい交合(かうがう)の上(うへ)直(すぐ)に乳(ちゝ)を
のませ候 事(こと)大(をゝい)なる毒(どく)なり此(この)ところ能々(よく〳〵)御慎(をんつゝしみ)有之(これあり)候
得(へ)ば小児(せうに)狂風(けうふう)の事(こと)は一切(いつせつ)無之(これなし)由(よし)秘中(ひちう)の秘伝(ひじ)【ママ】と承(うけたまは)り
候 為御心得(をんこゝろへのため)記_レ之
又 婬乱(いんらん)の者(もの)女房(にやうぼう)月水中に交(まじは)り懐妊(くわいにん)致(いたし)候 時(とき)は出生之(しゆつせうの)
子(こ)きわめて癩疾(らいしつ)を病(やむ)と是(これ)亦(また)秘伝(ひでん)御心得(をんこゝろへ)の為(ため)記之
【左丁】
この難疾(なんしつ)必(かなら)ず田舎(でんじや)に多(おゝ)く繁花(はんくは)の地(ち)に稀(まれ)なるを見(み)て知(しる)べし
( やまい) ( いなか)
一 和論語(わろんご)に曰(いわく)世(よ)の中(なか)の人 楽(たのしみ)をたのしみとするゆへ苦(くるし)
み多(をゝ)し。苦(くるし)みを楽(たのし)みとすれば楽(たのし)みつくる事(こと)なし
と。又(また)明君(めいくん)の御示(をしめ)しに苦(く)は楽(らく)の種(たね)楽(らく)は苦(く)のたねと
しるべし。主人(しゆじん)と親(をや)とわ無理(むり)なるものとしるべし。下(しも)
部(べ)は足(た)らぬものとしるべし。分別(ふんべつ)はかんにんに有(あり)と知(し)る
べし。欲(よく)と色(いろ)と酒(さけ)とは敵(かたき)としるべし九分(くふ)に足らわ
ぬ【「たらわす」の打ち消し】を十分(じうぶ)としるべし小事(せうじ)おどろくべし大事(だいじ)驚(をどろ)く
へからず。朝寐(あさね)すべからず。噺(はなし)の長座(てうざ)すべからず。子(こ)の
ことく親(をや)をおもへ近(ちか)きたとへなり。我(わ)が職分(しよくぶん)大切(たいせつ)に