翻刻
【右丁】
一 禅師(ぜんし)白山翁(はくさんをう)二尊師(にそんし)の御道話(ごどうわ)且(かつ)御徳者(をんとくしや)の御遺書(ごゆいしよ)
御教誡問答書(ごけうかいもんどうしよ)《割書:並に》添書(そへがき)心得草(こゝろへぐさ)等(など)かき写(うつ)し出之(これをいだし)候
みな自己(じこ)を脩(おさ)め家(いへ)を斉(とゝの)ひ主従(しうじう)親子(をやこ)夫婦(ふうふ)兄弟(けうだい)
一和(いつくわ)し世間(せけん)交(まじ)はり実意(じつい)を先(さき)とし足(た)る事(こと)を
知(し)りて真楽(しんらく)を得(ゑ)よとの心法(しんほう)にて是(これ)亦(また)保寿(ほうじゆ)の基(もと)
本(ひ)皆(みな)実学(じつがく)に候 得(へ)ば即今(そくこん)御銘々(ごめい〳〵)の一大事(いちだいじ)成(な)る事(こと)
を得(とく)と御合点(ごがてん)なされ御熟覧(ごじゆくらん)なし下(くだ)さるべくす
ぎ去(さ)りし事(こと)のやう御心得(をんこゝろへ)御覧(ごらん)成(な)され候ては御身(をんみ)
の為(ため)に相 成(なり)申さず 千載(せんざい)如一日(いちにちのごとし)と古人(こじん)も仰(をう)せら
れ候よし譬(たとひ)千年(せんねん)二 千年(せんねん)過去(すきさり)候 事(こと)にても何(なに)
【左丁】
も今日(こんにち)只今(たゞいま)に変(かわ)り候 義(ぎ)は無之(これなく)年来(ねんらい)過去(すぎさり)候とて世上(せでう)
かわり候 得(へ)ば古人(こじん)の仰(をう)せ置(おか)れ候 義(ぎ)も用(よう)に立(たゝ)ぬと申 物(もの)
にて書物(しよもつ)経文(けうもん)もありて益(ゑき)なきと申 物(もの)に候 高家(かうけ)秘(ひ)
伝書(でんしよ)之(の)御教諭(ごけうゆ)はじめ道話(どうわ)遺書(ゆいしよ)教誡問答書(けうかいもんどうしよ)
添(そへ)がき心得草(こゝろへぐさ)に至(いた)るまで悉皆(しつかい)御銘々(ごめい〳〵)の御事(をんこと)に候得
ば去年(きよねん)今年(こんねん)昨日(さくじつ)今日(こんにち)我(われ)人(ひと)身(み)の上(うへ)の義(ぎ)と聢(しか)と
御 心得(こゝろへ)御 熟覧(じゆくらん)くだされ度(たく)皆(みな)是(これ)世人(せじん)の為(ため)の御実(ごじつ)
教(けう)に御 座(ざ)候 得(へ)ば御 実意(じつい)を以(もつ)て御覧(ごらん)なされ御自心(ごじしん)
御会得(ごゑとく)成(な)され御(ご)あんどの場(ば)に御至(をんいた)り候はゞ愚老 本(ほん)
望(もう)に御座(ござ)候 容易(ようい)に御らん被下間敷(くだされまじく)候 某