翻刻
【右丁】
心得草(こゝろへぐさ)
信(まこと)は天下国家(てんかこくか)の宝珠(ほうじゆ)
( たから)
親(をや)をおもいうやまうは我(わ)が為(ため)子 孫(そん)のため
君(きみ)をおもひ敬(うや)まふは身(み)をおもふなり
主(しう)を敬(うや)まひ親(をや)を敬まふは忠孝(ちうこう)の鏡(かゞみ)
一家(いつか)和順(わじゆん)ははん栄(ゑひ)の本(もと)
倹約(けんやく)質素(しつそ)は家名(かめい)相続(そうぞく)の基(もと)ひ
勤(つとめ)をはげむは出世(しゆつせ)の本(もと)
家職(かしよく)出情(しゆつせい)するは長久(てうきう)の本(もと)
辛抱(しんぼう)は万事(ばんじ)成就(じやうじゆ)の本
【左丁】
堪忍(かんにん)慎(つゝし)みは其身(そのみ)の守符(まもり)
慈悲(じひ)あわれみは身(み)家(いへ)の祈祷(きとう)
富(ふ)人は世間(せけん)の重宝(てうほう)
無道(むどう)の富人(ふじん)は世財(たから)の番士(ばんし)
不 忠(ちう)不孝(ふこう)は人非人(にんひにん)
不義(ふぎ)不 如法(によほう)は悪行(あくげう)の先達(せんだち)
奢(おご)りものは先祖(せんぞ)親(をや)の恩(をん)しらず
家内(かない)不 和合(わがう)は不相続(ふそうぞく)の本(もと)
義理(ぎり)恥辱(ちぢよく)を知(し)らぬは人外(にんぐわひ)
勤職(かしよく)無精(ぶせい)ものは親兄弟(をやけうだい)の厄介(やくかい)
( つとめ)