翻刻
【右丁】
神仏(しんぶつ)の理生(りせう)奇特(きどく)を語(かた)るは不信心(ふしんじ)もの
奇怪(きくわい)不 思義(しぎ)を語(かた)るは愚痴(ぐち)を触(ふ)るゝなり
病(やま)ひに勝(か)つものは我(わ)が病(やま)ひを療(りやう)ず
病(やまい)に負(ま)くものは病根(びやうこん)に肥(こやし)を為(す)るもの
楽(らく)を好(この)むは苦(く)を求(もと)むる本(もと)
苦(く)をきらふは楽(らく)に近(ちが)づくもの
苦労症(くらうせう)は持病(じびやう)の種(たね)蒔(まく)者(もの)
吝嗇(りんしよく)無慈悲(むじひ)は見離(みはな)さるゝ本
大酒(たいしゆ)大 食(しよく)は短命(たんめい)の下地(したぢ)
色欲(しきよく)は命(いのち)を削(けつ)るもの
【左丁】
酒欲(しゆよく)食欲(しよくよく)は平日(へいじつ)の不養生(ふようぜう)
小食(しやうしよく)寡(くわ)【左ルビ:すくなき】酒(しゆ)は長命(てうめい)の下地(したぢ)
過(すぎ)たるは皆(みな)足(た)らざるなり
武士(ぶし)は竹(たけ)の如(ごと)くにして慈悲(じひ)情(なさけ)を体(たい)とすべし《割書:外堅固(ほかけんご)|中円(うちまどか)に》
百姓(ひやくせう)は野田(やでん)を住家(すみか)とし稼(かせ)ぎ働(はたら)くを体(たい)とすべし
職人(しよくにん)は一 心(しん)不 乱(らん)の座(ざ)を体(たい)とすべし
町人(てうにん)は囲碁(いこ)の如(ごと)くし得意(とくい)の心(こゝろ)を体(たい)とすべし《割書:勝(かた)んと打(うた)ず|負(まけ)まじと打(うつ)》
食服(しよくふく)は飢寒(きかん)をふせぐ為(ため)
住家(すみか)は雨露(うろ)をしのぐ為(ため)
後悔(かうくわい)は平日(へいじつ)の油断(ゆだん)