翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

養生長寿秘伝鈔 2巻 - 翻刻

養生長寿秘伝鈔 2巻 - ページ 19

ページ: 19

翻刻

【右丁】  よし此後(こののち)の命(いのち)三年 保(たも)ちがたく左(さ)候 得(へ)ば夫婦(ふうふ)とも相(あい)  果(はて)多勢(たせい)の子供(こども)老年(らうねん)の親(をや)一人のこり候 様(よう)なり行(ゆき)候 事(こと)  眼前(がんぜん)に候 此処(このところ)いかゞ心得(こゝろへ)居(い)らるゝやまづ先祖(せんぞ)親(をや)への  大(だい)不 孝(かう)世間(せけん)のあざけり又(また)女房(にようぼう)子供(こども)は不 便(びん)に無之(これなき)や  わが命(いのち)大切(たいせつ)には不存(ぞんぜず)や主人(しゆじん)一人の愚痴心(ぐちしん)にて女房(にようぼう)は  こんめいさせ子供(こども)をまどはせ我身(わがみ)は不 孝(かう)不如法(ふによほう)  の名(な)を請(うく)る事(こと)愚痴心(ぐちしん)のなす処(ところ)恥(はづ)かしくなき  や恥(はぢ)の人に於(を)けるこれより大(おう)ひなるはなしと是(これ)損(そん)  恥(はぢ)なりたんてき其場(そのば)に至(いた)り候はゞ何程(なにほど)後悔(かうくわい)せ  らるゝともいかんとも仕方(しかた)なく候 然(しか)れば今(いま)此(この)虚(きよ) 【左丁】  分(ぶん)の症(せう)には鍼灸(しんきう)薬(やく)にてしるしなき時(とき)は療治(りやうじ)いた  しかたもなきかと申せば左(さ)にあらず元来(ぐわんらい)皆(みな)人 病(やま)ひ  無(な)し然(しか)るに今(いま)自業(じごう)自作(じさく)の病者(びやうじや)に與(あた)へて眼前(かんぜん)に病  即(そく)消滅(せうめつ)不 老(らう)の一薬(いちやく)あり草根(そうこん)木石(ぼくせき)獣虫(ぢうちう)にあらず  信用(しんよう)して服(ふく)せば即効(そくかう)ある事(こと)顕然(げんぜん)なり然(しか)らば  一薬(いちやく)いづれにか有(あ)る他(た)にあらず即今(そくこん)自持(じぢ)せり信(しん)  心力(じんりき)をおこし我身(わがみ)は親(をき)【注】の遺体(ゆいたい)にて然(しか)も万徳(ばんとく)を  具(ぐ)したる金剛(こんごふ)の身体(しんたい)なる事(こと)を得心(とくしん)し次(つぎ)に先(せん)  祖(ぞ)親(をや)より譲(ゆづ)り受(うけ)たる大切(たいせつ)成(なる)家(いへ)も身(み)有(あり)ての家(いへ)にて  家(いへ)にさき立(だ)つ我(わ)が身命(しんめい)此(この)大事(だいじ)をおもふを先祖(せんぞ) 【注 「をや」の誤記】