翻刻
【右丁】
聞(もん)に抱(かゝは)りて子(こ)の愛(あい)を忘(わす)れたる也 天(てん)より与(あた)ふ所(ところ)に
高下(かうげ)貴賤(きせんの)差別(さべつ)なきを見(み)て感(かん)ずべし上古(ぜうこ)は懐(くわい)【扁の「月」は誤】
妊(にん)すれば目(め)に悪色(あくしよく)悪行(あくげう)を見(み)ず 耳(みゝ)に婬声(いんせい)をき
( じだらくこゑ)
かず席(せき)正(たゞ)しからざれば座(ざ)せずと斯(かく)母(はゝ)の見聞(けんもん)声(せい)
( み きゝ こゑ)
色(しよく)まで正(たゞ)す是(これ)真(しん)の愛(あい)ならずや篤実(とくじつ)博学(はくがく)の師(し)
( いろ)
に随身(ずいしん)すとも猶(なを)二六 時中(じちう)側(そば)を去(さ)らぬ親(をや)の示訓(じくん)
( おしへ)
養育(よういく)肝心(かんじん)にてまた仮(か)りにも友(とも)をゑらみ交(まじ)はら
すべし皆(みな)是(これ)親(をや)の役(やく)なり。聖人(せいじん)の曰 《振り仮名:君不_レ君臣不|きみきみたらざればしん》
《振り仮名:_レ臣|しんたらず》。《振り仮名:父不_レ父子不_レ子|ちゝちちたらざればここたらず》。感得(かんとく)すべし
幼稚(ようち)養育(よういく)心得(こゝろへ)
【左丁】
一 貧賤(ひんせん)たりともいやしく育(そだ)つべからず
一 富貴(ふうき)たりとも心(こゝろ)のまゝに育(そだ)つべからず
一 上下とも憐(あはれ)み慈悲(じひ)無欲(むよく)をおしへ無慈悲(むじひ)気随(きずい)
利欲(りよく)戒(いまし)むべし
一 下(しも)たるは云(い)ふに及(およ)はず貴賤(きせん)とも正直(せうぢき)実意(じつい)を教(をし)へ名(めう)
聞(もん)無実(むじつ)を戒(いま)しむべし
一 上下 貴賤(きせん)とも善友(ぜんゆう)をゑらみ仮(かり)にも悪友(あくゆう)に近付(ちかづく)べ
からず
一 上下 貴賤(きせん)とも万事(ばんじ)美悪(びあく)好(す)き嫌(き)らひ聢(しか)と戒(いましむ)べし
一 常(つね)に上(かみ)を尊(たうと)み下(しも)を哀(あはれ)むを談(だん)じ且(かつ)孝道(こうどう)忠義(ちうぎ)を