翻刻
【右丁】
不 和合(わがう)の基(もと)ひ也また主(しう)としては下臣(かしん)奴僕(ぬぼく)に色乱(しきらん)
( けらい) ( やつこ)
を教(をし)へ親(をや)としては子弟(してい)に好色(かうしよく)を進(すゝ)め家(いへ)を乱(みだ)す勤(きん)
( つとめ)
身(しん)としては次席(じせき)配下(はいか)に婬事(いんじ)を免(ゆる)し導(みちび)くにて
勤仕(きんし)の場(ば)もまた危(あやう)く皆(みな)身(み)家(いへ)を損(そこな)ひやぶる基(もと)ひ
愚妄(ぐもふ)のいたり論(ろん)に及(およ)ばず只(たゞ)節(せつ)を知(しつ)て交(まじ)はり二
( ほどよき)
六 時中(じちう)身(み)の大事(だいじ)を忘(わす)れず寡酒(くわしゆ)寡欲(くわよく)にして臍(さい)
( すくなき) ( ほそ)
下(か)に座(ざ)し心気(しんき)を養(やしな)ふ是(これ)真(しん)の養生(ようぜう)にて長生(ちやうせい)久(く)
視(し)うたがふべからず古今(ここん)なく他人(たじん)の知(し)るべき所(ところ)に非(あら)ず
只(たゞ)我(われ)独(ひと)り是(これ)を知(し)る
〇色(いろ)とさけ欲(よく)にいのちを縮(ちゞ)みけり損(そん)恥(はぢ)とこそ
【左丁】
いふべかりける。損(そん)とは命(いのち)をちゞむる也 恥(はぢ)とは世間恥辱(せけんちじよく)也
〇色(いろ) 酒(さけ)をこのむ酒(さけ)又(また)色(いろ)を生(せう)ず酒色(しゆしよく)兄弟(けうだい)の如(ごと)し命(いのち)を縮(ちゞむ)者(もの)是(これ)也
〇酒(さけ) 心気(しんき)を動(うごか)し色情(しきぜう)を生(せう)じ強気(がうき)と成(な)り或(あるひ)は中毒(ちうどく)身命(しんめい)危(あやう)し
〇欲(よく) 心(こゝろ)の暇(いとま)なく気(き)を労(らう)し或(あるひ)は持病(ぢびやう)絶(た)へず生涯(せうがい)知足(ちそく)の期(ご)無(な)し
( たることをしる)
身上(しんしやう)足(た)れば 心上(しんしやう)足(た)らず
( みのうへ) ( こころのうへ)
心上足れば 身心(しん〴〵)足(た)る
( みこゝろ)
〇無(な)きにのみ身(み)を成(な)し果(はて)てしこゝろよりあるに任(まか)する
世(よ)こそ安(やす)けれ。
一 皆(みな)人(ひと)愚痴(ぐち)妄迷(もふめい)より心(こゝろ)を苦(くるし)めて身(み)を楽(たのし)み命(いのち)を縮(ちゞ)み
先祖(せんぞ)親(をや)の家名(かめい)も不 相残(そうぞく)して汚名(をめい)を残(のこ)す物(もの)夫(それ)三ッ
(まか)