翻刻
【右丁】
実道人(じつどうじん)ならば受(う)くべからず此(この)心(こゝろ)を放(はな)たず守(まもつ)て正悟(せうご)を
求(もと)めばいまた了解(りやうげ)いたさずともみだりに私(わたくし)の見解(けんげ)を
生(せう)ぜず工夫(くふう)を成(な)す志(こゝろざし)斯(かく)の如(ごと)くならば何(なん)ぞ見性(けんせう)了解(りやうげ)
吾(わ)が掌中(たなごゝろのうち)にいらざる事(こと)を歎(なげ)かんや
一 愚暗(ぐあん)の凡夫(ぼんぶ)一 字(じ)一 句(く)を《振り仮名:不_レ識|しらざる》も亦(また)是(これ)仏(ほとけ)也 自己(じこ)霊明(れいめう)の心性(しんせい)を
識(し)らざれば譬(たと)ひ身(に)を破(やぶ)り未塵(みぢん)の如(ごと)く筋骨(きんこつ)をも粉(こ)に
し覓(もとむ)とも終(つひ)に得(う)べからず仏(ほとけ)とは直心(ぢきしん)也 此(この)心(こゝろ)《振り仮名:無_二【注】形相_一無_二【注】因|げうそふなくいんぐわ》
《振り仮名:果_一無_二筋骨_一如 ̄シ_二虚空取 ̄コト不_一_レ得|なくきんこつなくこくうのとることへざるがごとし》
一 山(やま)に入(い)り閑所(かんしよ)に籠(こも)り人里(ひとさと)をはなるゝは生死(せうし)を怖(をそ)るゝ故(ゆへ)也
生死(せうし)の源(みなもと)は妄念(もふねん)なり妄念(もふねん)の源(みなもと)は無念(むねん)也 無念(むねん)の源(みなもと)は実相(じつそう)無(む)
【左丁】
相(そう)之(の)心地(しんち)なり
〇白山翁道語(はくさんをうどうご)
一 静座(セイザ) ̄ハ住 ̄ス_二無念(ムネン) ̄ニ_一離 ̄レ_レ迷 ̄ヲ浄 ̄ム_レ垢 ̄ヲ故 ̄ニ生死 夢覚(ムカク)万事如 ̄ク_二 大虚 ̄ノ_一
出離 ̄ノ直道無 ̄シ_レ如 ̄クハ_レ之 ̄ニ実 ̄ニ輪回(リンエ)源 ̄ハ妄想 ̄ニ云云若 ̄シ断 ̄テバ生死
本 ̄ヨリ夢( 也)調(シラブ)_レ心 ̄ヲ者(トハ)観(クワンズルニ)_レ心 ̄ヲ無 ̄ク_レ心我 ̄カ心自 ̄カラ空 ̄ニシテ罪福(ザイフク)無_レ主妄-念
空 ̄ナル故 ̄ニ如 ̄ク_二幻化(ゲンゲノ)_一来 ̄ルモ無_二所 住(ジウ)_一去 ̄ルモ無_二足跡_一無心無-念 不(フ)-可(カ)-
思議(シギ) ̄ニシテ寂静(ジヤクセイ)洞朗(トウラウ也)
道 ̄ノ本 ̄ハ空是( 也)良 ̄トニ由 ̄テ_三衆生起 ̄スニ_二於虚妄 ̄ヲ_一蔽(ヘイシ)_二於本理 ̄ヲ_一流_二‐浪 ̄ス三
界 ̄ニ_一若 ̄シ欲 ̄セバ_レ断_二‐際 ̄セント虚妄 ̄ノ生死 ̄ヲ_一須 ̄ク【左ルビ:シ】_三依 ̄テ_レ本 ̄ニ而観 ̄ズ_二法性 ̄ヲ_一空-観 現(ゲン)
前 ̄スルヲ名 ̄ケテ為_二正 覚(ガク) ̄ト_一
【注 「二」点脱】