翻刻
【右丁】
自心(じしん)の外(ほか)に仏(ほとけ)なく 直(ぢき)に假教(けけう))をはなるなり
( かり)
善悪(せんあく)不 二(に)の門(もん)開(ひら)け 邪正(じやせう)一如(いちによ)の道(みち)すぐに
無苦(むく)楽国(らくこく)の里(さと)に出(で)て 無体(むたい)の体(たい)を体(たい)として
行(ゆ)くも帰(かへ)るも我(われ)知(し)らず 問(と)ふも答(こた)ふも無言(むごん)にて
立居(たちい)起臥(をきふ)し作(な)す業(わざ)も 無念(むねん)の念(ねん)を念(ねん)として
謡(うた)はゞ謡(うた)へ舞(ま)はゞ舞(ま)へ 拍子(ひやうし)ぶ【不】拍子(ひやうし)おとも臭(か)も
皆(みな)是(これ)法(のり)の御声(みこゑ)なり 爰(ここ)に何(なに)をか求(もと)むべき
心月(しんげつ)孤円(こゑん)明(あき)らけく 当所(とうしよ)に現在(げんざい)するなれば
即今(そくこん)即是(そくぜ)此(この)身(み)儘(まゝ) 老(おひ)せず死(し)せず安穏(あんをん)快楽(けらく)
〇今(いま)そしる冬籠(ふゆごも)りせる草(くさ)も木(き)も花(はな)に
【左丁】
咲(さく)べき種(たね)しありとは
〇とひ答(こた)ふ言(こと)の葉(は)ごとにあらわれて それとも
見へず かくれざり鳧(けり)
〇発 心 和 讃
道(みち)は国家(こくか)を濡(うるを)す霊薬(れいやく) 草木(そうもく)国土(こくど)一時(いちじ)に実(み)のる
悟(さとり)は我身(わがみ)の蘇生薬(そせいやく) 二度(ふたゝび)生死(せうし)にあづからず
道(みち)は悟(さと)りの門(もん)より這入(はいる) 悟(さと)りは門(もん)の外(そと)より這入(はいる)
悟(さと)る悟(さと)りは悟(さと)りにあらず 未生(みせい)以前(いぜん)の父(ちゝ)の声(こゑ)
万経(ばんけう)万書(ばんしよ)道悟(どうご)の器(うつわ) 心上(しんしやう)厳師(げんし)一 字(じ)を仮(か)らず
信(しん)の一 字(じ)は国家(こくか)の財器(さいき) 万徳(ばんとく)万 法(ほう)是(これ)より生(せう)ず