翻刻!江戸の医療と養生

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養生長寿秘伝鈔 2巻 - 翻刻

養生長寿秘伝鈔 2巻 - ページ 81

ページ: 81

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【右丁】 道外(どうげ)にこゝろ有(あ)らざれば   心外(しんげ)に往来(ゆきゝ)の道(みち)も無(な)し 心外(しんげ)に道(にち)を求(もと)むるは    日(ひ)の出(で)を西(にし)に待(ま)つ如(ごと)し 信力(しんりき)堅固(けんご)の勇(ゆう)無(な)くは    いつか越(こゆ)べく生死(せうし)海(かい) 凡聖(ぼんせう)と成(な)る其(その)面体(めんてい)を不改(あらためず) 本(もと)是(これ)山中(さんちう)の樵夫(しやうふ)也  (                                              きこり) 本来(ほんらい)真向(まむき)の直心体(じきしんたい)      何(いづ)れに転(てん)ずる方所(ところ)も無(な)く 一切(いつさい)万法(ぱんほう)皆如(かいによ)夢幻(むげん)      本性(ほんせう)自空(じくう)何(なに)をか取捨(しゆしや)す  (             ゆめまぼろし) (                  をのづから) 毫釐(ごうり)も見所(けんしょ)ある時(とき)は     生(せう)を曳(ひ)き亦(また)種々(しゆ〴〵)と成(な)る   (けのさき) 円明(ゑんめい)【注1】空(くう)の世界(せかい)には 仏(ほとけ)も住(すま)ず凡(ぼん)も居(い)ず 空王(くうおう)【注2】は是(これ)無相(むさう)【注3】の公(かた) 不 思善(しぜん)不 思悪(しあく)【注4】懈怠(けだい)せず 無性(むせう)不 思義(しぎ)の体(たい)なれば     独(ひと)り虚空(こくう)に住(すみ)給ふ 【左丁】    云(い)ひ捨(すて)しその言(こと)の葉(は)の外(ほか)なれば筆(ふで)にも    跡(あと)をとゞめざりけり    常(つね)に住(す)むこゝろの中(うち)の隠家(かくれが)を人(ひと)の問(と)ひ来(く)る    道(みち)なりける    たのむそよ もしも まとろむひまあらば ふき    驚(をど)ろかせ峯(みね)の松風(まつかぜ)   〇何某君 御遺書之内書抜  此方(このほう)事(こと)は幼少(ようせう)より武芸(ぶげい)のみ心(こゝろ)がけ書見(しよけん)のいとまなくも  ちろん不心懸にて至(いたつ)て文盲(もんもふ)也 学才(がくさい)あるものゝ人前(ひとまへ)にては  何(なに)となく恥(はづ)るこゝろ有之(これあり)後悔(かうくわい)に存(ぞんじ)候 事(こと)ども間々(まゝ)有之(これある) 【注1 理知が満ちていること】 【注2 仏】 【注3 一切の執着を離れた境地】 【注4 禅語「不思善悪」 善悪を超越した境地内に住する事】