翻刻!料理本の世界

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西洋料理通 - 翻刻

西洋料理通 - ページ 10

ページ: 10

翻刻

【右丁】  は俚俗童蒙等(りぞくどうもうら)の専(もつば)ら読容(よみやす)からんことを要(ゑう)と  すればなり 遮莫(さはれ)洋語(やうご)而己(のみ)片仮名(かたかな)を用(もち)ゆる者(もの)  は自他言語(じたげんきょ)の混雑(こんざつ)せざらむことを思(おも)ふ依(によ)れり ○此書(このしよ)の大意(たいい)は 我国人(わがくにびと)をして彼国(かのくに)の調理(てうり)を  伝習(でんしう)せしめ交際(かうさい)の一助(いちぢよ)に充(あつ)るのみ敢(あへ)て洋学(やうがく)  の楷梯(かいてい)と為(なす)ものならねば洋語(やうご)をもて記(き)せる件(くだん)  は小記(こがた)に二行(にぎやう)並(なら)べて訳(やく)し本文(ほんもん)の行条(くだり)は真名(まな)  仮名(かんな)を混合(こんがう)し漢字(かんじ)の傍訓(ふりがな)に俗語(ぞくご)を用(もち)ゆる例(れい)彼(かの)  稗史読本(はいしよみほん)の等類(たぐひ)にして通俗(つうぞく)を旨(むね)とするの小説(しやうせつ)なれ 【左丁】  ばなり体裁(ていさい)雅致(がち)ならざるを僥倖(さいわい)に咎(とが)むること勿(なか)れ ○原書(げんしょ)洋語(やうご)をもて記(き)する条(でう)爰(こゝ)には等目(とうもく)の条下(でうか)に  のみ洋語(やうご)を存(そん)し本文(ほんもん)は「スープ」を吸物(すいもの)と訳(やく)しキ  ウコンフルは胡瓜(きうり)と記(しる)しマカロニーは素麺(さうめん)と訳(やく)  すの類(たぐひ)二体(にてい)の自他(じた)を一体(いってい)に円集(まとめ)て見容(みやす)からし  めん事を関目(くはんもく)とせり然(しか)れ共(ども)「ボートル」の如(ごと)き牛(うし)  の乳(ちゝ)にて製(せい)したる物(もの)と訳(やく)すの語(ご)長々(なが 〳〵)しきは  原語(げんご)の儘(まゝ)にて存(ぞん)せり且(かつ)「コールツ」「ハインツ」 の如(ごと)き彼(かの)  土(ど)の器分量(うつはぶんりやう)に随(したがつ)て名義(めいぎ)を異(こと)に為(す)訳文(やくもん)繁(しげ)きを 西洋料理通 凡例 二

現代語訳

【右丁】 これは一般庶民や子供たちが専ら読みやすくすることを目的としているからである。ただし、外国語のみは片仮名を用いているのは、日本語と外国語が混同しないようにとの配慮からである。 ○この書物の主旨は、我が国の人々に外国の調理法を学習させ、国際交流の一助とすることであり、決して洋学の入門書とするものではない。そのため外国語で記されている箇所は小さな文字で二行並べて翻訳し、本文の部分は漢字とひらがなを混ぜて使い、漢字のふりがなには俗語を用いる例は、あの草双紙や読本の類と同じで、通俗的であることを主眼とした小説のようなものである。 【左丁】 そのため体裁が上品でないことを幸いにも咎めることはない。 ○原書が外国語で記している条項について、ここでは項目の見出しにのみ外国語を残し、本文は「スープ」を吸物と訳し、キューカンバーは胡瓜と記し、マカロニーは素麺と訳すといった具合に、二つの言語体系を一つにまとめて見やすくすることを重要視した。しかしながら「バター」のような牛の乳で製造した物と訳す語が長々しいものは、原語のままで残してある。また「クォート」「パイント」のような外国の器や分量に従って名義を異にする場合、訳文が煩雑になるのを

英語訳

【Right page】 This is because the primary purpose is to make it easy for common people and children to read. However, foreign words are written in katakana to prevent confusion between Japanese and foreign languages. ○The main purpose of this book is to have our countrymen learn foreign cooking methods and serve as an aid to international exchange. It is by no means intended as an introductory textbook for Western learning. Therefore, passages written in foreign languages are translated in small print arranged in two lines, while the main text mixes Chinese characters and hiragana, using colloquial language for the pronunciation guides of Chinese characters, following the example of popular fiction books and illustrated novels that prioritize accessibility for common readers. 【Left page】 Therefore, one should not fortunately criticize the lack of elegant presentation. ○Regarding the clauses recorded in foreign languages in the original book, here we retain foreign words only in the headings of items, while in the main text we translate "soup" as suimono (clear broth), record "cucumber" as kyūri, and translate "macaroni" as sōmen (thin noodles), thus consolidating two linguistic systems into one to make it easier to read. However, words like "butter," which would require the lengthy translation "something made from cow's milk," are retained in their original form. Also, for terms like "quart" and "pint" that have different meanings according to foreign vessel measurements, making the translated text cumbersome—