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コレクション: 恋川春町

鸚鵡返文武二道(江戸東京博) - 翻刻

鸚鵡返文武二道(江戸東京博) - ページ 4

ページ: 4

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【#1を必ず読んで下さい】 #1 延喜のせい代とて太平うちつゝき たるにまかせ上下万民ことのほか おごりに長しひふくをかざりむやく のもの入あることをなげきおほしめし めされたる所の八丈八たんのりうもんの 御衣こはくたんごのこぶのやふなる御さし ぬき柳ちやどんすのいしのおびまで かん夜にぬぎすて給ひそさうなる 茶宇じま京さんとめの御衣にめし             かへ給ふ #2   〽女御かうゐ御めし   かへをさゝげ給ふ 〽さても菅しやう〳〵 かみなりとなりて 時平のおとゞ清つら まれ世をけころして のちはてうてい さつはり御やく人 すくなにつきかんしやうぜうの 一子かんしうさいをめし 出され政道ほさのしんと なさればんきのまつり ごとをあづけ給ふ 〽菅公ばんきの まつりごとを とりおこない 給ふに これまて つとめ給ふ 公卿は いつれも 時平 清つら まれ世に 内ゑんあいだがらのこと あたりさはり有て用ひ られすその外にて 御用にたつへき人を見出す まではよき人といつては 古人より外にはなし もつとも太平久しく 打つゞけはしよ人文に なかれて武にうとく なるものなれはまづさい しよに武をならはせて 兵をつよくせんと兵ほう けんじゆつにては 源九郎よしつね 弓にてはちんぜい 八郎ためとも 馬しゆつにては 小ぐりの はん ぐわん かね氏を めし 出され 月卿雲客#3より地下に いたるまでしなん いたしとり立べきむね せんじおゝせわたさるゝ   〽時代ちがいも     しつているか    こゝがくさ     そうしだから    うつちやつて       おきやれサ 【女御の台詞】 かさねてから御下めしはあいつきにあそはしませ くろは御そんで御さります 【帝の台詞】 なるほと ちんも そう おもふ 【本文続き】 九郎 よしつね ちんせい八郎 小ぐりの はんぐわん めしによつて さんだいする 【小栗判官の台詞(義経や為朝より後の時代の人物)】 み ふ せうの わたくし とも 御ゑらみに あつかる てう あり かたい 仕合に こさります しかし わたくし どもは あなた がたより くつとのち の世の人て ごさります 古人とは 御まち かい かと そんじ まする

現代語訳

延喜の治世といって太平が続いているのに任せて、上下万民がことのほか贅沢に慣れ、衣服を飾り、無駄な物を取り入れることを嘆かれ、お召しになっていた八丈八反の流紋の御衣、琥珀色の丹後の昆布のような御差貫、柳茶どんすの石の帯まで、寒夜に脱ぎ捨てなさり、粗末な茶縞の京三留の御衣にお召し替えになる。 〽女御が更衣の御召し替えをお捧げになる 〽さても菅丞相が雷となって時平の大臣、清原真世を蹴り殺して後は、朝廷さっぱり御役人少なくなり、寛正承和の一子寛修斎をお召し出しになり、政道の補佐の臣となさり、万機の政事をお預けになる。 〽菅公が万機の政事を取り行いなさるに、これまで勤めなさった公卿はいずれも時平、清原真世に内縁間柄のことで、あたり障りがあって用いられず、その他で御用に立つべき人を見出すまでは、良き人といっては古人より外にはない。もっとも太平が久しく打ち続けば、諸人は文に流れて武に疎くなるものなので、まず宰相に武を習わせて兵を強くしようと、兵法剣術においては源九郎義経、弓においては鎮西八郎為朝、馬術においては小栗の判官兼氏をお召し出しになり、月卿雲客より地下に至るまで指南致し取り立てるべき旨、宣旨仰せ渡される。 〽時代違いも知っているが、ここが草双紙だから打ち捨てておきなさい 【女御の台詞】 重ねてからの御下着はお似合いでいらっしゃいませ。黒はお損でございます。 【帝の台詞】 なるほど、朕もそう思う。 【本文続き】 九郎義経、鎮西八郎、小栗の判官、召しによって参内する。 【小栗判官の台詞】 身不肖の私どもが御選びにあずかる事、ありがたい仕合でございます。しかし私どもはあなた方よりずっと後の世の人でございます。古人とはお間違いかと存じます。

英語訳

During the reign of Engi, as peace continued, the emperor lamented that all people, high and low, had grown excessively fond of luxury, adorning their clothing and acquiring useless things. He cast off his eight-tan silk robe with flowing patterns, his amber-colored Tango silk hakama like kelp, and even his willow tea-colored silk belt with stone patterns on a cold night, and changed into plain tea-striped Kyoto fabric clothing. 〽The Empress offers the Emperor a change of court dress 〽After Minister Sugawara became thunder and kicked Minister Tokihira and Kiyohara Mareyo to death, the court was left with very few officials. The Emperor summoned Kanshūsai, the sole heir of the Kanshō-Jōwa era, made him an assistant minister of government, and entrusted him with all state affairs. 〽When Lord Sugawara took charge of all government affairs, all the court nobles who had served until then were connected by marriage to Tokihira and Kiyohara Mareyo, creating conflicts of interest that made them unusable. Until suitable people could be found elsewhere, the only good candidates were ancient heroes. Since prolonged peace makes people inclined toward literature and ignorant of military arts, to first teach the ministers martial ways and strengthen the military: for military strategy and swordsmanship, Minamoto no Kurou Yoshitsune; for archery, Chinzei Hachirō Tametomo; for horsemanship, Oguri Hangan Kaneuji were summoned. An imperial decree was issued that they should instruct and train everyone from high court nobles down to commoners. 〽Even though we know the chronology is wrong, since this is a picture book, let's just ignore it 【Empress's dialogue】 Your new undergarments suit you very well. Black would not become you. 【Emperor's dialogue】 Indeed, I think so too. 【Main text continues】 Kurou Yoshitsune, Chinzei Hachirō, and Oguri Hangan respond to the summons and come to court. 【Oguri Hangan's dialogue】 It is a most grateful honor for us unworthy ones to be chosen. However, we are people from much later times than you. I believe there may be some mistake in calling us "ancient people."