翻刻
【前コマ最終行から続いている】
おもひつき
なれども何も
かもしほ
からあん
ばいにして
こまり
けり
〽せんしうは梅かえが
ゆくゑしれさるを
かつなげきかつ
うらみて世の中
あじきなく
つりに出て
心のうさをわすれ
けるがせんしうがつりばり
梅かえがつふりの返りにはる
かに高く見へしもつきせぬ
えんのつななるへし
【梅がえ、せんしうの釣り針に文を結び】
〽いつそうれ
しい
身の上の
わけをまづ
つまんで
かきんした
【侍女の亀】
そのつりばりがせん
しう様のでござります
少し
あたる
やう
にして
そつと
おむすびつけ被成ませ
にしきゑのはんきり#1も御ざり
ますれどあぶらがみとは
わたくしのちゑでごさります
現代語訳
【前ページから続く】
思いつくことはあるけれども、何もかも塩辛い味付けにしてあるので困ってしまった。
〽千秋は梅がえの行方が知れないのを、嘆いたり恨んだりして、世の中が面白くなく感じられた。
釣りに出て心の憂さを忘れようとしたが、千秋の釣り針が梅がえの着物の裾に引っかかって、はるかに高く見えたのは、尽きることのない縁の綱なのであろう。
【梅がえ、千秋の釣り針に手紙を結ぶ】
〽いっそう辛い身の上の事情をまず要約して書き記した。
【侍女の亀】
その釣り針が千秋様のものでございます。少し当たるようにして、そっとお手紙を結び付けなさいませ。錦絵の半切りもございますが、油紙というのは私の知恵でございます。
英語訳
[Continued from previous page]
Though she could think of various things, everything was prepared with such a salty taste that she was troubled.
〽Senshu, not knowing Umegae's whereabouts, grieved and resented her absence, finding the world tedious and uninteresting.
He went out fishing to forget the melancholy of his heart, but when Senshu's fishing hook caught on the hem of Umegae's garment and appeared high above, it must have been the unending cord of fate.
[Umegae ties a letter to Senshu's fishing hook]
〽She first summarized and wrote down the details of her increasingly painful circumstances.
[Turtle lady-in-waiting]
That fishing hook belongs to Lord Senshu. Position yourself so it touches you slightly, and gently tie your letter to it. We have fine brocade paper available, but using oil paper is my clever idea.