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コレクション: 山東京伝

江戸生艶気樺焼 : 3巻 - 翻刻

江戸生艶気樺焼 : 3巻 - ページ 5

ページ: 5

翻刻

かないの 下女 とも のぞき みて おらが わか だんなに ほれ るとは せんけか【千家か】 こりうか【古流か】 ゑん しうか【遠州か】 しらぬが とんだ ちや しん【茶人】#2 だと さゝやく 〽みづ からと 申は そも よるべ さだ めぬ ころひつま【、】このしんみちに すみなれてひとのこゝろを うわきにする白ひやうしで ござんすかやば丁の 勺 ̄ヤくし#3でこちのゑん二郎さんを うゑ木のかげから みそめました 女ぼうにする ことがならずは おまんまなと たいてもおりたいのさ それもならぬと おつしやれば しぬかくごで ござります な どゝ ちう もん どをり の せりふ をならべ たてる ハテ いろおとこといふものはどんなことでなんぎを しよふかしれぬものだぞもふ十両やらふからもちつと大きなこへで となり あたりへ きこへるやうに たのむ ゑん二郎が おや弥二ゑもん たのんだことは しらずきの どくにおもひ いろ〳〵と いけんして かへしける

現代語訳

家内の下女たちも覗き見て、「おらが若旦那に惚れるとは、千家か、古流か、遠州か、知らないが、とんだ茶人だ」とささやく。 「♪水からと申すのも、そもそも頼るべき人も定まらぬ頃、人妻となって、この新道に住み慣れて人の心を浮気にする」という白拍子でございます。かやば町の薬師で、こちらの縁二郎さんを植え木の陰から見初めました。女房にすることができなければ、お飯なども絶って死にたいのです。それもだめだとおっしゃるなら、死ぬ覚悟でございます」などと、注文通りのせりふを並べ立てる。 「はて、色男というものはどんなことで難儀をするものかわからないものだぞ。もう十両やるから、もう少し大きな声で、隣あたりへ聞こえるように頼む」 縁二郎の父親の弥二衛門は、頼んだことは知らず、気の毒に思い、いろいろと意見して帰らせた。

英語訳

The household maids also peek and whisper, "Our young master has fallen for someone - is she from the Senke school, the Koryū school, or the Enshū school? We don't know, but what an unexpected tea master!" "♪Starting from nothing, having no one to rely upon in those days, I became someone's wife and grew accustomed to living in this new district, making people's hearts unfaithful" - this is in the style of a shirayōshi dancer. I am from the physician's house in Kayaba-chō, and I fell in love with your Enjirō at first sight from behind the planted trees. If I cannot become his wife, I would rather stop eating and die. If you say that's impossible too, I am prepared to die." She delivers such lines exactly as ordered. "Well, who knows what kind of troubles a ladies' man faces! I'll give you another ten ryō, so please speak a bit louder so the neighbors can hear." Enjirō's father, Yazaemon, unaware that this was arranged, felt sorry for her and gave her various advice before sending her away.