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コレクション: 山東京伝

江戸生艶気樺焼 : 3巻 - 翻刻

江戸生艶気樺焼 : 3巻 - ページ 8

ページ: 8

翻刻

ゑん二郎もとより うわきもの なれば ふか川 しな川 新しゆくは いふに およはす はうばう まで かつて みれども うきな ほどてのある女郎はないと おもひし がひととふりてはおもしろからずと おもへどもたゞまぶにならふと いつてはむかふがふせうちゆへ わるゐしあんが名あてにてうきなを あけつめにじぶんはしんぞうかいにて あいおもいれかねをつかつて 此ふじゆうなところが   につぽん#1だとうれしがりけり 【わるゐしあんの台詞】 おれが やくも つらい やくだ ざしきの うちは 大じんて とこが おさ  まると まきへの たばこ ぼんと おれ ばかり これも とせい だと おもへば はらも たゝぬが 五つぶとん にしきのよぎてねるだけ ぢにならねへ#2 【ゑん二郎の台詞】 てまえやけをおこしてやりてやまわしをよんがやれがとこへくるとあつちらの大じんが やけをおこしてやりてやまわしをよんでこゞとを いふうちのこゝろもちのよさはどうやすく ふんでも五六百両がものはあるのさ ほんに ぬしは すい#3 きやう な ひと  で ござ  りんす

現代語訳

円二郎はもともと浮気者なので、深川、品川、新宿は言うに及ばず、あちこちまで行って見たけれども、浮名ほど手練のある女郎はいないと思った。しかし一通りでは面白くないと思うものの、ただ真似になるといっては向こうが不承知なので、悪い仕打ちが名当てで浮名を明け詰めに、自分は新造買いで相思いを入れ、金を使って、この不自由なところが日本一だと喜んでいた。 【悪い仕打ちをする男の台詞】 俺の役も辛い役だ。座敷の中は大尽で床が収まると、薪への煙草盆と俺ばかり。これも当世だと思えば腹も立たないが、五つ布団に錦の夜着で寝るだけでは地にならない。 【円二郎の台詞】 手前が焼餅を起こして遣り手や山師を呼ぶが、やれ床へ来ると、あっちらの大尽が焼餅を起こして遣り手や山師を呼んで、ここがどうのこうのと言う。うちの心持ちの良さはどうだ。安く踏んでも五、六百両のものはあるのさ。 本当にあなたは粋狂な人でございますね。